FP2級 2017年1月 実技(金財:生保)問14(改題)

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問14

Aさんの相続に係る遺産分割に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な遺産分割に関する語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~ヌのなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「仮に、Aさんの相続に係る遺留分算定の基礎となる財産の価額を3億円とした場合、二男Dさんの遺留分の金額は、()万円になります。Aさんについて相続が開始し、長男Cさんが賃貸ビルなど相続財産の大部分を取得したならば、二男Dさんの遺留分は侵害される可能性があります。遺留分が侵害された場合、遺留分権利者である二男Dさんは、Aさんの相続の開始を知った時から()年以内に遺留分侵害額請求権を行使することにより、遺留分を保全することができます」
  2. 「Aさんの相続開始後、相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、『配偶者に対する相続税額の軽減』『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることはできません。ただし、相続税の申告の際に『申告期限後()年以内の分割見込書』を提出し、申告期限後()年以内に遺産分割協議が成立したならば、『配偶者に対する相続税額の軽減』『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることが可能となり、分割後4カ月以内に更正の請求を行うことができます」
  3. 「遺産分割を巡る争いを防ぐ手段として遺言書の作成をお勧めします。遺言の効力を確かなものにすることを考えると、()証書遺言の作成が望ましいと思います。()証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成します」
  1. イ.1
  2. ロ.3
  3. ハ.5
  4. ニ.10
  5. ホ.3,750
  6. ヘ.7,500
  7. ト.1億5,000
  8. チ.自筆
  9. リ.秘密
  10. ヌ.公正

正解 

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:4.相続と税金

解説

〔①について〕
遺留分は法定相続人の組合せによって以下のようになっています。
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推定相続人は妻Bさん・長男Cさん・二男Dさんの3人ですので「配偶者と子」の組合せになり遺留分は1/2です。二男の法定相続分は「1/2×1/2=1/4」なので、遺留分の金額は遺留分の割合に法定相続分を乗じて、

 3億円×1/2×1/4=3,750万円

よって、正解は[ホ]の3,750(万円)になります。

〔②について〕
遺留分侵害額請求とは遺言や遺産分割で遺留分が侵害された際に、相続人、受遺者および受贈者に対して侵害された額に相当する金銭を請求できる制度です。相続の開始を知ったときから1年、相続の開始から10年すると遺留分侵害額請求権は時効で消滅するので、Aさんの相続の開始を知った時から1年以内に行使する必要があります。
よって、正解は[イ]の1(年)になります。
遺留分侵害額請求権として侵害額に相当する金銭を請求できるようになったのは民法改正後です。それまでは遺留分減殺請求として現物返還が原則でした。
〔③について〕
申告期限までに遺産分割が整わない場合、基本的に未分割の財産については「配偶者の相続税軽減」や「小規模宅地等の評価減」などの適用を受けられません。しかし、申告期限後3年以内の分割見込書を相続税の申告期限までに提出して、実際に3年以内に分割すれば遡って適用を受けることができることになっています。
よって、正解は[ロ]の3(年)になります。

〔④について〕
証人2人以上の立会いのもと、遺言者が口述した内容を公証人が筆記して作成するのは公正証書遺言です。公証人には、元裁判官や元検察官法務省職員など任命されているため法に即した有効な遺言を作成できます。また、原本は公証役場に保管されるため、改ざんや紛失の恐れがありません。
よって、正解は[ヌ]の公正になります。