会社が役員に無利息で金銭貸付した場合の処理

ジェイさん
(No.1)
22年1月学科問39肢2
「会社が役員に無利息で金銭の貸付を行った場合、原則として通常収受すべき利息相当額が会社の益金に参入される」
これが正答であることが腑に落ちません。
会社側はもらえるべき利息をもらえていないのにその分を益金として参入する、というのが真逆ではないかと感じてしまいます。

解説には「利息を受取利息として益金参入し、同時に役員給与として損金参入する」とあります。
例えば、100万を無利息貸与(本来の利息が3万)だとしたら、
3万を益金参入、と同時に3万を損金参入、ということなのでしょうか?
だとしたら、会社側は損も得もしていないような感じになってしまいます。

書いていてより混乱してきてしまいました。どなたかご教示ください。
2024.05.03 18:08
マルさん
(No.2)
この投稿は投稿者により削除されました。(2024.05.04 00:38)
2024.05.04 00:36
マルさん
(No.3)
会社として損も得もしてないからこそ、この処理なんです。

端的に言うと、この役員から個人としての所得税を課税するため、そして会社としては法人税の課税逃れを防ぐためと申しましょうか。

では、順を追って経理処理を中心に見ていきます。
会社が役員に無利子で100万を貸しました。
経理処理としては、これは資産の移動です。
会社としては、現金(資産)100万が、貸付金(資産)100万に変わっただけで、損益には何の影響も与えていません。
貸借対照表には関係しますが、損益計算書には何の影響も与えません。

次に税務調整です。
税務調整は損益計算書の会計上の利益から、法人税を計算するための法人としての所得金額を出すために色々調整するものです。

では、今回の貸付で得をしているのは誰ですか?
役員ですよね。無利子で金を借りているんですから。この得をしている役員からはその分の所得税をとらないといけません。
だからまずこの役員が得した分の通常の利息分との差額を給与として処理します。これでこの役員は給与所得が増えて、それに見合った役員個人としての所得税が課税されることになります。

次に、会社側を見てみます。
今役員が得した分を給与として損金算入しました。損金算入ということは給与として経費が増えたという事なので、この会社の所得金額がその分下がってしまいます。
会社としては損も得もしてない会計処理なのに、このままだと給与の分だけ会社の所得が圧縮されて、法人税を安くすることにつながってしまいます。
だから、利息分を益金にも算入して、給与の損金算入といわば打ち消し合う処理をするんです。

もし、給与としての損金算入だけしかしない処理だとどうなるか。
会計上の利益に何の影響も与えていないのに、税務上では給与という経費に計上されて、その分会社としての所得を減らし、引いては税金(法人税)を安くすることに使われてしまいます。
どんどん役員に無利子で貸せば、その分だけ法人税を安くする悪巧みに使われてしまいます。それは許しませんよということなんです。
2024.05.04 00:40
ジェイさん
(No.4)
マルさん

回答ありがとうございます。
会社が損金だけの計上をしていては問題がある理由はご説明からよく納得できました。
もう一つだけ質問させていただくと、
「会社が役員に無利息で金銭の貸付を行った場合、原則として通常収受すべき利息相当額が会社の損金に参入される」
という選択肢があれば、この選択肢は(というか、この選択肢も)正答となる、という認識でよいのでしょうか。
2024.05.04 06:15
マルさん
(No.5)
その選択肢だと厳密に言うと誤りです。
厳密に言うと書いたのは、法律上(法人税法22条2項)では、このような事例も「益金算入」と規定しているからです。
以下、法人税法22条2項を抜粋します。

[法人税法22条2項抜粋]
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。


この無償による譲渡や役務の提供を収益と考えるのは、最初にスレ主さんが思ったように一般人の感覚からは理解しがたい感覚です。
税法学者の間でも、この法人税法22条の「無償による~」部分を説明するのに、様々な説が展開されています。
私が先のコメントで書いたのは、その中でも通説の「適正所得算出説」を基にしています。

法律で、このように規定されている以上、試験で「損金に算入される」という選択肢が出たら、やはり誤りとなるでしょう。
厳密にと書いたのは、実務ではこんな益金に算入して、反対に給与として損金計上してとは煩わしくてやらないでしょう。本来会社が受け取るべき利息分を役員給与として損金として処理だけした方が早いですから。
2024.05.04 07:41
ジェイさん
(No.6)
マルさん

度々のご説明大変ありがたく思っています。
法律上こう定められているけど、肌感覚には馴染まないよね。ということが理解できました。
この違和感があれば覚えていられそうです。どうもありがとうございました。
2024.05.04 08:16

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